PROJECT STORY 03

プロジェクトストーリー03

カーボンニュートラルの実現へ、
日本を動かす巨大なスキームが
立ち上がる。

洋上風力発電ビジネス参入プロジェクト

Project Member

  • プロジェクトストーリー
    大塚 巧
    ※取材当時の内容です。
    鉄鋼貿易本部 厚板・エネルギー鋼材貿易部 
    厚板・条鋼貿易室
    兼 再生可能エネルギー鋼材貿易チーム チームリーダー

    2006年度入社
    学生時代はアルバイトで稼いでバックパッカーをしていた。カンボジアなど東南アジアの旅を経験するうちに海外で働きたいと思うようになり、商社ならばその希望も叶うだろうと考える。JFE商事に入社したのは、面接を通じて自分自身を必要としてくれていると感じたため。
  • プロジェクトストーリー
    桃井 弘
    ※取材当時の内容です。
    鉄鋼貿易本部 厚板・エネルギー鋼材貿易部 
    造船鋼材貿易室
    兼 再生可能エネルギー鋼材貿易チーム

    2007年度入社
    小学校1年生から大学卒業まで剣道一筋の生活を送る。日々の鍛錬を通じて技を磨くとともに、礼節も身につけることができた。学生時代、明石海峡大橋が完成したのを見て、自分も人や文化の架け橋になりたいと商社を志望する。風通しのよい社風に惹かれ、JFE商事に入社。
  • プロジェクトストーリー
    大場 康誉
    ※取材当時の内容です。
    鉄鋼貿易本部 厚板・エネルギー鋼材貿易部 
    エネルギー鋼材・鋼管貿易室
    兼 再生可能エネルギー鋼材貿易チーム

    2013年度入社
    学生時代は大学祭実行委員会に所属。人・組織を動かすことの難しさと面白さを実感。塾講師のアルバイトでは保護者対応で社会人としての振る舞いを学んだ。大工だった父の影響で“何かを残す仕事”に憧れ、鉄を通じたものづくりに携わりたいと鉄鋼商社を志望。自分らしく働ける風土があると感じてJFE商事に入社する。

子どもたちの世代のために、
価値ある何かを残したい。

3月の日本海から吹きつける風は冷たかった。だが桃井は寒さに震えるどころか、心が熱く燃えるのを感じていた。「なんというスケールなんだ…」。目の前の港には、1本800トンという巨大なモノパイルが30本以上も身を横たえている。これから沖で始まる着床式洋上風車の基礎の建設で、海底に打ち込まれる杭だ。大口径・長尺の超重量物であるモノパイルは、残念ながら日本にその製造能力がないため、わざわざヨーロッパから運ばれてきたものだった。だが、グループ会社のJFEエンジニアリングが、2024年4月には国内で初めてモノパイルの製造を開始する見通しだ。そうすれば、JFEホールディングスが総力を挙げて取り組む洋上風力発電ビジネスが本格的に始動することになるだろう。桃井とともに風に吹かれながら港を見下ろしていた大場も「自分たちの子ども世代に受け継いでいける、価値あるプロジェクトになるだろう。時代に自分の足跡を刻むチャンスを得たことに感謝したい」と胸を熱くした。2人は、眼下のモノパイル群の向こうにやがて始まる新しい時代の扉が開くのを感じ、興奮を禁じ得なかった。

3人のメンバーへ、
重要プロジェクトが託された。

話は約10ヵ月前にさかのぼる。大塚、桃井、大場の3人はWebミーティングに呼び出された。ディスプレイ上に並ぶ顔は経営層に近い面々。通常の会議とは違う重みを持ったミーティングであることは明らかであり、大塚は「ひょっとすると…」と息を呑んだ。予感は的中する。「この3人で再生可能エネルギービジネス参入のプロジェクトチームを立ち上げてもらいたい」と、本部長から命令が下ったのだった。大塚の背中を冷たい汗が流れた。当時、台湾向けの厚板輸出に忙殺されており、とても新規プロジェクトの立ち上げを兼務する余裕などない。「勘弁してくれよと思った」と、大塚はその時の思いを正直に振り返っている。だが本部長から、なぜこの3人を選んだのかという説明を聞くうちに、大塚はこのメンバーなら可能かもしれないと思うようになった。大塚の厚板輸出業務は、洋上風力発電に先駆的な台湾向けのものである。桃井は造船所向けの厚板、形鋼の輸出を担当しており、将来の浮体式洋上風力発電設備に経験が活かせるだろう。そして大場はASEAN、欧州などで洋上風力発電向け鉄鋼製品の営業活動に取り組んできた。大塚の胸中では次第に「この3人の力を合わせれば」という確信が強くなっていった。それは裏返せば、この3人以上の人材はいないという期待の表れだ。「めったにないチャンスだとポジティブに受け止めた」と、大塚は当時の思いを語る。

日本中のプレーヤーを巻き込んで、
新しいスキームを仕掛けていく。

Webミーティングから一週間後、JFE商事からメディア向けのニュースリリースが発表された。グループ各社の力を結集して洋上風力発電ビジネスに本格参入するという内容で、発表直後から大塚たちにも驚くほど多くの反響が寄せられた。「背景にあったのは、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた動きだった。目指すべきゴールは明確でも、具体的にどんな取り組みをしたらいいのか産業界全体が迷っている中、我々の挑戦が先駆けと受け止められたのではないか」(大塚)。 JFEホールディングスは中期経営計画において「モノパイル製造を事業化することで洋上風力発電事業における先行者となり、グループ全体でサプライチェーンを構築する」と打ち出している。JFEホールディングスのシナジーを活かした大きなチャレンジだ。その具体的な一歩を踏み出したと、ニュースリリースをもって宣言したのである。「発電事業者、ゼネコン、中小企業を含めた全国の加工業者…。多くのプレーヤーが洋上風力発電ビジネス参入の機会をうかがっている中、自ら仕掛けることでまったく新しいスキームをつくっていくという、自分でもかつて経験したことのないプロジェクトになると確信した」と桃井は語る。

2050年に向けて、
私たちのチャレンジは続く。

国内で洋上風力発電の工事が始まるのは2020年代後半の見通しだ。建設に要する鋼材の市場規模は2030年に累計で250万トンとみられ、それはJFEスチールの年間生産量の約1割に相当する。実に大きなビジネスなのだ。一方で、このプロジェクトは当面利益を生まないことになる。そのことへの疑問の声がないわけではなかった。だが、ある港湾施設で洋上風力発電建設に備えた改修工事が始まり、護岸工事用鋼材の需要が生まれると「君の言った通りだったよ」と興奮した声の電話が大塚にかかってきた。いずれ間違いなくビジネスチャンスは生まれると社内外に訴え続けたプロジェクトメンバーの声は、こうして着実に届き始めている。そして今、チームメンバーの目はさらに遠くの将来を見つめている。海底に杭を打つ着床式洋上風車は水深が深くなるにつれ工事が困難になる。いずれ浮体式構造物を利用した風力発電に切り替わっていくだろう。そうなれば桃井が培ってきた造船所向けのノウハウが活かされ、さらにJFE商事の優位性は高まっていくはずだ。またJFEホールディングスが蓄積してきたO&M(オペレーション&メンテナンス)事業の知見を活用すれば洋上風力発電所の運営にも携わることができ、より息の長いビジネスが展開できるだろう。3人は未来に向けてそうしたサプライチェーン構築を目指しているところである。「仕組みづくりが我々のミッション。しっかりと基礎を築きたい」(大場)。その仕組みを受け継いで本格的に洋上風力発電ビジネスに切り込んでいくのは、これから入社することになる若い人材だ。「これほどのビジネスの立ち上げに携われるチャンスを、ぜひつかんで欲しい」とリーダーの大塚も期待を寄せる。

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