教えられたとおりの方法から新たな対応へ

国内の大手造船会社などに船や橋梁、発電プラントなどの材料となる厚板を販売している造船鋼材室。奥山はそこで受注鋼材の仕入れ先への発注や鋼材のデリバリー、販売代金の回収管理といった業務を担当している。また、それらのルーティンな業務とは別に、仕入れた鋼材を加工して販売する際の加工メーカーへの発注や見積もり作成等の業務も行う。
 奥山はいま、取引先との間を結ぶ受発注システムの開発に携わっている。
「それまでの業務では、先輩に教えられたとおりの方法でやっていればよかったのですが、そのお客さまはこれまでとは異なる対応が必要となったのです」
 そのお客さまからのオーダーは、鋼板1枚ごとにサイズや加工が異なる複雑なもの。それらの仕様が書かれたオーダーシートの情報をシステムに入力する際、一つひとつ入力していては非常に時間がかかってしまう。それを効率的にできるようにシステム化するために、奥山はお客さまと連携し、システム開発会社に自分の意見を伝え、打ち合わせの資料作成などを行った。

一つステップアップができたと実感

奥山がこうしたルーティン以外の仕事に関わるのは今回が初めてではない。しかし、以前同様のシステム更新があった際は、自分がもっと積極的に関わるべきだったのに、手慣れた先輩が進めてくれるのを傍らで見ているだけであった。
「それに対して残念な気持ちがあったので、『次の機会ではもっと積極的に取り組みたい』と考えていたのです。お客様とシステム会社、社内の関係部署をつないでスムーズに更新プロジェクトが進むよう、資料作成や連絡業務、進捗状況管理などに日々、取り組んでいます。この仕事を担当し、一つステップアップができたと実感しています」

この仕事で奥山が心がけているのは、「目的はシステムをつくることではなく、そのシステムで業務を正確に、そして効率的に進められるようにすること」を忘れないことだ。
「システムの不具合でデータが抜け落ちてしまうと、また、一つひとつ入力しなければなりません。その場合は、他のメンバーとのダブルチェックをしなければならなくなり、非常に手間と時間がかかります。そのような事が起きないような正確なシステムを作ってもらえるよう、関係者に働きかけています。」

人によりいろいろな仕事の進め方・
考え方があると知る

奥山ら営業ラインの一般職は、営業担当者とペアを組んで進めることが多い。部署の異動により、ペアを組む営業担当者が入れ替わる事も度々。また、お客様が変わる事もある。そして、1、2年目の時には周囲の優しさをありがたいと感じていたが、4年目となる今は、「自分に厳しく接してくれる人は自分の成長のため。ありがたい」と思えるようになった。 「お客さまや多くの社員と仕事をしていく中で、人によりいろいろな仕事の進め方、考え方があると知ることができました。そのおかげで、以前よりも『この人は何を求めているのか』『事前に何をそろえておけばいいか』と相手のニーズを考えるようになりましたね」
 JFE商事には、社員同士が話しやすい風土があると奥山は感じている。職場の9人のメンバーの中で4年目の奥山には、すでに複数の後輩がいる。
「後輩が先輩や上司とコミュニケーションをとりやすくなるよう、自分が架け橋になれればと思っています」
 そんな奥山はいま、社内の野球チームのマネージャーとしても活躍している。
「様々な部署の人とも接することができ、社内のことや世の中のことを知る機会にもなっています。楽しいですね」
 そのように、積極的に機会をつくり、相手に働きかけていくことが自分を成長させることにもつながると奥山は確信している。
「当社には、成長できる機会がたくさんあると思います」