サステナビリティ
環境
ビジネスを通じた環境課題解決への貢献
洋上風力発電ビジネス
洋上風力発電ビジネスによる再生可能エネルギー普及に向けた取り組み
風力発電の導入普及が世界的に進む中、近年では、洋上に風車を設置する洋上風力発電が急成長しています。これまではヨーロッパや台湾・中国を中心に導入されてきましたが、今後は日本を含むアジア各国や北米でも需要が大きく伸びると予測されています。
日本政府が2020年に策定した洋上風力産業ビジョンでは、年間100万kW程度の区域指定を10年継続し、2030年までに1,000万kW案件を形成するなどの目標が掲げられました。再生可能エネルギーが占める発電量の割合は年々増加傾向にあり、2040年には世界の発電量全体の6分の1を占めると予想されています。
JFE商事は、再生可能エネルギー分野への更なる鋼材ビジネス拡大に向け、2020年7月に再生可能エネルギー鋼材貿易チームを発足させて体制を強化し、台湾企業との協業を進める等、鋼材販売の最大化や事業収益の獲得に向けた戦略を着実に遂行しています。また、JFEスチールによる大単重厚板の製造能力増強やJFEエンジニアリングによる着床式基礎構造物の製造など、JFEグループ全体で洋上風力発電ビジネスにおける事業化を推進している中、JFE商事は鋼材・加工製品の流通販売におけるサプライチェーンの構築を進め、JFEグループ内の更なる連携強化および再生可能エネルギーの普及に貢献しています。
バイオマス燃料ビジネス
バイオマス燃料の供給によるCO₂低減
昨今の世界的な脱炭素への動きから、再生可能エネルギーによる発電が増大しています。その中でも、天候に左右されない発電として、「パーム椰子殻(以下、PKS)」や「木質ペレット」などのバイオマス燃料の需要が拡大しています。
バイオマスは太陽光や風力、水力、地熱に並ぶ再生可能エネルギーの1種。代表的なPKSは、パーム椰子を絞ってパームオイルを生産する過程で発生する殻のことです。殆どが廃棄処分されていましたが、水分含量が少なく、発熱量が高い重要な再生エネルギー源であり、かつ椰子の木の生育過程でCO2を吸収することからCO2排出抑制に大きく貢献するなど、近年注目を集めています。また木質ペレットは、間伐材や木材の製材時に発生する端材等を集めて固形燃料に成形したもので、カーボンニュートラルな燃料として、PKS同様に注目されています。
JFE商事では、開発案件として早期に取り扱いを開始し、2012年の経済産業省によるFIT制度(固定価格買い取り制度)導入が追い風となり、年々取扱量を増やしてきました。マレーシアやインドネシアなどの多様なソースから日本へ輸入することで安定供給を図っており、伸び行く需要に適切に対応可能なことから、2020年4月にはバイオマス燃料部を発足させ、更なるビジネスの展開を進めています。JFEグループのJFEエンジニアリングが運営するバイオマス発電所への燃料供給も行っており、グループ一丸となり環境課題解決に貢献しています。
電磁鋼板ビジネス
サプライネットワークにおける取り組みを通じた電力の効率的な供給・消費への貢献
CO2排出の削減をはじめとした気候変動問題への取り組みにおいては、発電された電力をいかにロスなく効率的に利用するかが重要なポイントとなります。
電力消費量のうち、発電所や工場、家庭など様々な場所で使用されているモーターによる消費量は、全世界で40~50%、日本では約60%と大部分を占めています。仮に日本におけるモーターの効率を1%改善すると、50万kWクラスの大型発電所1基分の省エネルギーに相当するといわれています。電気自動車(EV)はもちろんですが、自動車には1台に50~100個ものモーターが搭載されているといわれており、これら車載モーターを小型化・高効率化して軽量化されることで、燃費向上などの省エネ効果が期待できます。また、発電した電力を工場や家庭に届ける際のエネルギーロスも無視できません。そのため、送配電に不可欠な変圧器の高効率化・低損失化も電力消費量とCO2排出量の削減に向けた重要な取り組みです。
当社では、モーターや変圧器の高効率化・低損失化に欠かすことができない高品質な電磁鋼板の安定供給に加え、必要とされる加工までを含めたバリューチェーンを構築しています。モーターメーカーや変圧器メーカーのグローバルな展開に合わせたサプライネットワークのもと、お客様のニーズにきめ細やかに対応することで、地球環境の保全に貢献しています。
自動車用高張力鋼板ビジネス
自動車軽量化に寄与する高張力鋼板(ハイテン)のサプライチェーン強化
2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、自動車メーカー各社はCO2削減に取り組んでいます。ガソリン車などの内燃機関車は、車体を軽くすることにより燃費が向上し、CO2排出量を減らすことが出来ます。また電気自動車(EV)も、航続距離を伸ばすためには、車体の軽量化が欠かせません。
JFE グループが自動車用鋼材として開発、販売しているハイテン材は、板厚を薄くしても、車体の強度を維持・向上させることが出来ることから、自動車の軽量化に繋がる鋼材として、近年、採用比率が高まっています。
当社はJFE グループの中核商社としてJFEスチールと戦略を同期化し、ハイテン材のサプライチェーン強化に注力しています。お客様の現地調達ニーズに応えるべく、JFEスチールと連携し海外ネットワークの強化を図ってきました。2021年5月にメキシコに新たな自動車用鋼板の加工・販売拠点が稼働したことで、グローバル4極(日本・中国・アセアン・米州)でお客様の多様なニーズに応える体制が整いました。当社はサプライチェーンの強化により、自動車の軽量化に貢献しています。
スクラップビジネス
スクラップの利用推進による循環型社会への貢献
CO2の排出が高炉法に比べて4分の1に抑えられる電炉法のみならず、高炉法においても使用量を増やすことでCO2が削減されることから近年鉄スクラップは一層注目されています。また、鉄の高度なバリューチェーンの中で既にほぼ全量回収され、有効に利用されています。JFEグループでは、世界的なスクラップ発生増大を機会と捉え、グループの電炉鋼製造を推進するとともに、最新鋭の省エネルギー電炉設備を一貫施行するエンジニアリング技術を活用し、事業機会を獲得しています。更に、高炉法におけるスクラップ利用技術も開発を進め、鉄鋼業全体でのスクラップ利用を拡大させています。
スクラップの利用拡大において、JFE商事では、リサイクル事業として鉄スクラップやアルミスクラップを扱い、スクラップの利用推進による循環型社会の拡大に寄与しています。特に鉄スクラップは、国内取引に加えてアジア各国への輸出や外国間取引も行い、コンテナ積込システムによる小ロットのタイムリーな出荷を実現するなど、物流の拡大と効率化にも貢献しています。
出典:JFEグループCSR報告書2021
環境管理活動
JFE商事は、エネルギー削減の一環としてオフィスにおける電力量の削減、紙の削減、廃棄物の分別管理徹底などの活動を日常的に進めています。
ISO14001の認証登録
2000年に東京・名古屋・大阪でISO14001を取得しました。その後、国内全支店・営業所、および製造系10社を含む国内グループ会社24社が認証を取得し、JFE商事グループ一体となった環境マネジメントシステムの運用を継続実施しています。海外においては製造系グループ会社12社がISO14001の認証を取得しています。
環境教育
JFE商事グループの環境教育として、ISO14001活動では全社員対象の一般環境教育と内部環境監査員養成の研修を各々年1回、実施しています。また、グループ各社には環境関連法遵守チェックリストの活用による法令遵守の周知徹底や法改正の情報展開により、環境関連法の認識を高める施策を実施しています。
環境リスク管理
環境リスクの把握・低減の一環として、環境関連法遵守チェックリストによるセルフチェックを毎年実施することで、遵守しなければならない事項の確認を行っています。また、ISO14001の認証取得グループ会社においては、年に1回、内部環境監査を実施し、未取得会社については、3年に1回の環境監査により、現場の法令遵守状況を確認しています。