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2025年 JFE商事社長年頭挨拶

発足20 周年と2024 年の振返り

当社は2024 年に発足20 周年を迎えることが出来ました。まず大きな環境変化がある中でも目標達成に向けて業務に取り組んでいる世界中のグループ社員の皆さんには心より感謝を申し上げます。

この20 年を振り返ると最初の10 年はリーマンショックなどの影響で順調とは言えない時期もありましたが、中国鉄鋼需要の急増に支えられ、トレード事業を中心に利益を出せた時期でした。その後、環境が大きく変化し、中国が輸入側から輸出側となり、安価な鋼材が日本や各国に流入するようになりました。この変化により、従来のトレード中心のビジネスモデルだけでは継続的な成長が難しくなったのが後半の10 年です。このような背景から当社としては事業投資を強化してきました。2014 年のKelly pipeや2019 年のCogent買収、米州・豪州の建材薄板需要の取り込みを目的にした2022 年のCEMCO、2024 年のSTUDCOの経営権取得をはじめ、マレーシア合金鉄メーカーのOMH・インドアルミ脱酸材メーカーのArfinへの出資など、トレードと事業運営を両輪とする構造への転換を進めてきました。

直近の2024 年を振り返ると国内需要の縮小が顕在化した年でした。建材分野では人手不足や物流・建築コスト上昇を背景とした案件の減少、建機・産機分野では外需の減速、自動車分野では品質・認証問題による減産などが主要な要因として挙げられます。

このような厳しい環境ではありますが、日本市場は需要規模においてアジア有数の鋼材マーケットであることは変わりありません。カーボンニュートラル(CN)や新エネルギー関連の需要も今後増加が見込まれており、既存分野と成長が期待される分野にどう取り組むかが重要な課題だと考えています。

海外では中国での内需不振に伴い、安価な鋼材のアジアへの流入が加速しました。この流れを受け、各国での市況下落や中国に対する通商措置が増えていますが、依然として中国の輸出量は増加傾向にあり、アジアの鋼材市況の本格回復には時間を要すると想定しています。一方、米国での需要は底堅く、インドなど新興国も成長を継続しており、これらの重点地域の需要を確実に取り込み、収益力を高めていくことが重要です。

今期は7次中期の最終年度です。セグメント利益の実力値を450~500 億円と見ておりますが、期初計画の500 億円達成に向けて、残りの3 か月に取り組んで頂きたいと考えております。

 

当社の長期ビジョン

次に当社の長期ビジョンについてです。収益については2035 年時点でセグメント利益1,000 億円を目指し、稼ぐ力にこだわっていきたいと考えています。国内は人口減により需要縮小が予想されますが、日本は当社にとって最も重要な地域であることは変わりなく、国内事業は大事にしながら存在感を高める取組みを継続していきます。

海外においては伸び行く需要の取り込みを積極的に実施し、収益拡大の柱として事業優位性の高い地域においてインサイダー化を推進していきます。米州・ASEAN・中国に続き、豪州を2025 年4月に本部化し、豪州やその周辺市場を攻めていく体制を整えたいと考えています。インドはJFEスチールが現地のJSWとの協業を決めており、当社の加工機能を最大限活用した取組みを深化させていきます。欧州では東欧セルビアでのコイルセンターが25 年7月に稼働を予定しており、欧州での電磁鋼板の需要取り込みを図ります。将来的には各地域での意思決定機能を独立させ、各事業会社が成長するためにはどうしたら良いかを本気で考える組織体制にしていきたいと考えています。

 

8次中期計画について

8 次中期計画が2025 年度よりスタートします。2024 年度の実力値を450 ~500 億円とし、次期中期の3年間で1,650 億円、最終の2027年度には600 億円の収益を目指して取り組む方針です。国内事業をベースにしつつ、海外需要の取り込みを着実に実施するためにM&A、事業投資、設備増強などに関しても積極的に進めていきます。JFE商事がさらに強い企業になれるよう、基幹システムのリフレッシュ、DE Iの意識/風土の醸成、企業文化の変革にも取り組みます。また、規程等の見直しによる権限の下位委譲を強力に実施し、自ら考え、実行することにこだわることで、グループ内だけでなく、お客様にも頼られる・任せられる存在になりたいと考えています。

 

2025 年の環境について

世界経済については、地政学リスクの継続と各国の保護主義的政策による世界貿易の分断が懸念されます。米国は金融引き締めから緩和に動いたこともあり、軟着陸が想定されてはいるものの、トランプ政権の政策次第では景気後退へ陥るリスクが残ります。中国においては、不動産不況に端を発した経済不振が継続しており、中国政府による金融緩和・不動産支援策が発表されていますが、実際どの程度の効果が出るかの見極めはこれからです。

国内経済については、インバウンド需要やサービス消費による需要の牽引や自動車生産の正常化、環境分野・半導体など設備投資の増加を受けて、緩やかな回復を期待しておりますが、依然として建築分野の低迷が懸念材料として残ります。鉄鋼分野においても、高炉各社が需要に合わせて生産能力を削減しており、人手不足など構造的に内需は戻りにくい状況です。引き続き厳しい需給環境が予想されますが、2025 年は8 次中期の初年度であり、まずは500 億円のセグメント利益を着実に達成すべく取り組んでいきたいと思います。

 

環境変化に伴う経営課題への対応

当社発足から20 年でも大きな環境の変化がありましたが、今後も日々環境は変化していきます。様々な環境変化に伴う経営課題に対して、当社としても脱炭素への取組み、サステナビリティやダイバーシティへの取組みも推進していきます。

サステナビリティの分野では2050 年のCN達成に向け、国内事業会社を通じた再エネ電力の活用、バイオマス燃料の取引拡大、エネルギー効率の向上が期待できる電磁鋼板・自動車ハイテン材の取り扱い増加など、社会課題の解決に貢献するビジネスへの取組みも引き続き拡大していきます。

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)においても取組みを継続します。女性管理職の登用は2030 年で20%到達を目標とし、キャリア形成を推進させていきます。また多様な価値観を受け容れる風土を醸成し、組織を活性化させ、「議論をする社風・風土」を築くことに繋げていきたいと思います。

GX・DXについても社内の基幹システムの刷新を確実に実行し、新たな成長分野と位置付け、物流・リサイクル・再エネ関連・環境関連の新規事業の拡大を目指していきます。

 

安全と品質、コンプライアンスについて

まず「安全と品質」はビジネスにおいて最も優先されるべきことであることは改めて認識をお願いします。この両輪なくして、お客様から評価されることはありません。

「安全と品質」が全てにおいて優先されることはもう一度肝に銘じて頂きたいと思います。

「コンプライアンスの遵守」についても徹底をお願いします。当社グループには、ルール違反による不正な利益は一切必要ありません。勝手な判断が企業の信頼を損なう可能性があることは改めて認識して頂きたいと思います。またハラスメントの撲滅についても引き続き取り組んでいきます。社員の皆さんの意識が高まっていることは認識しておりますが、被害については躊躇せずホットラインを利用してください。

今後もJFE商事グループの皆さんにとって働きやすい会社であり続けるためにも、一人ひとりがコンプライアンスの遵守を意識し良識ある行動を心がけて頂きたいと考えています。

 

最後に

今後も常に変化する世界に「しなやか」に対応していくために改めて社員の皆さんには変革を考えてほしいと思います。我々の価値や強みが何なのか、なぜやるのかを常に自問自答し、徹底的に考え、議論し、色々なことにチャレンジする。このような文化を根付かせ、自考とオープンの考え方で「変革と挑戦」を恐れずに実行。また個人が責任を持ってやりきる企業文化を改めて創っていきましょう。

最後になりましたが、全ては世界中のJFE 商事グループの皆さんが心身ともに健康であることが前提です。本年が世界のJFE商事グループの皆さんとご家族にとって実り多き1年になることを祈念いたしまして、私の年頭の挨拶といたします。

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