オーストラリアとロシアの経済・天候に目を配り安定した石炭供給を その使命の遂行が最良品質の日本の鉄鋼を作る

PROFILE

就職活動では、主に商社業界を中心にエントリー。大学は英文科ということもあり、周囲の友人たちと「就活の話はかみ合わないこともあった」と笑いながら振り返る。「鉄はどんな業界でも必要。仕事の規模も大きく、グローバルなフィールドで働ける」という視点で、JFE商事に入社。現在は鉄鋼の製造に欠かせない石炭を商材とし、日本の鉄鋼メーカーへの安定供給に貢献。

「社会を支える大きな仕事がしたい」。入社時の思いの先にあったのは鉄の原料・石炭を扱う仕事

 石炭部は鉄鋼の製造に必要な石炭の調達と販売を行う。その中で、榎が所属する第一石炭室は、主に国内の鉄鋼メーカーへの販売を担当する。鉄を製造する製鉄所のシンボルの「高炉」。その高炉で、石炭から作られるコークスと酸化鉄を含んだ鉄鉱石を混ぜ合わせることで鉄は作られる。石炭は、鉄の品質を左右する重要な原料の一つだ。
 「入社する時に希望していたのは、鉄鋼部門でした。でも、配属されて石炭を担当することになって、今は仕事がとても楽しい。石炭は鉄鋼の製造プロセスでも、上流工程にあたる原料として大切なものですし、扱う規模も圧倒的に大きい。船1隻あたりの積載量が20万トン、価値は数十億円という規模になります。また、製鉄プロセスの上流工程に携わることで、社会を支えていることを日々実感することが出来ます。『社会を支える大きな仕事がしたい』ということが入社動機の一つだったこともあり、石炭部での仕事の規模の大きさややりがいは自分の思いにぴったりでした」。入社後配属された第一石炭室で、上司について営業の業務を学ぶ。契約書の作成、そして海外の石炭の生産地から日本へ石炭を輸送する船舶のフォロー。そして3年目から営業担当として原料輸入業務の最前線に立つことになった。

顧客と現地の間に立ちながら、存在価値を高める鍵を握るのは、細かな情報収集と分析そして提案

 日本の石炭は、そのほぼ全てを輸入に依存している。その輸入国の第1位がオーストラリア。さらに、インドネシア、ロシアと続く。榎が担当する地域は、オーストラリアとロシア。まさに主要2カ国と向き合う重要な役割を3年目から担うことになった。「3年目に営業担当になってから、改めて仕事の規模の大きさとその価値、そして大変さを自覚しました。石炭は、製鉄をする際の原料になりますから、安定的に供給することが必要です。製造が止まるような事態は万が一にも許されません。これは非常に緊張感の高い仕事ですが、その分使命感や大きな誇りを持って仕事が出来ています。輸入国第1位のオーストラリアには、JFE商事もいくつか炭鉱の権益を所有していますが、それらも含めた仕入先となる各炭鉱の生産状況や、産出した石炭の輸送状況、更にサプライヤーの財務状況なども常につかんでおく必要があります。営業になった当初は、予期せぬ出来事が毎日のように押し寄せてくる中、周囲にサポートしてもらいながら、目の前にある課題を一つ一つこなすのに精一杯の状況でした。そうした中で、つねに意識していたのが、自分の役割と仕事の意義。現地と鉄鋼メーカーとの間に立つ中で、己の付加価値を意識し、自分なりの考えや意見を付加していきながら、自分自身がどう動いたらいいかを考え、行動するようにしていました」。
 石炭は自然の鉱物であるがゆえに、生産地の天候もつかんでおくことが大切。さらに海外から船舶での輸送となるために、港湾の状況にも常に気を配らないといけない。
 「オーストラリアの天候は毎日必ずチェックします。ある時、大きなサイクロンに見舞われたことがあって、豪雨によって採掘した石炭を輸送することができなくなった上に、港湾設備が破壊され、長期にわたって輸送が遅延する事態になりました。予定していた輸送プランを変更し、世界中の炭鉱から代替の輸送案を練って現地とも頻繁に連絡をとりながら、対策を講じて顧客に解決策を提案する。その期間は胃が縮む思いですが、無事に石炭を供給できた時は、心からほっとしますし、自分の仕事の大きさを実感できて、モチベーションがすごく上がります」。

目で見て、現地で体感したことを提案に活かす 行動型・営業担当の次なる目標は、海外へ

 オーストラリアの天候リスクは、サイクロンや大雨だが、もう一つの担当国であるロシアの場合は、凍結。「輸送船舶の貨物ハッチをあけてみたら氷が張っていることも。石炭の品質は、それによって製造される鉄鋼の品質をも左右します。良い鉄を作るために輸入される石炭の品質管理にも、つねに気を配っています。また、ロシアの状況を詳しく知ることが一つの課題であった中、担当になってから、上司に直接かけあって、現地の状況を把握するため視察に。自分の目で見て状況を把握するかしないかで顧客への提案内容も変わることを、前回のオーストラリア視察の時に感じていましたので。結果として、自分の室にとっても大きな財産になったと思います」。
 世界各地の経済状況や、石炭を生産するサプライヤーの財務状況の把握。また、輸送手段である船舶の仕様や特徴、契約書の作成における法律に関する知識の向上等。入社してから、知識やスキルを次々と吸収し、さらに石炭や鉄のマーケットの状況にも常に気を配る。そんな榎は入社4年目となる2017年、オーストラリア駐在が決まった。今まで培った経験を活かし今度は現地でのさらなる成長に期待したい。

COLUMN

本社のある大手町フィナンシャルシティのコンコース2階で。「就職活動では最後まで悩みました。結果として、JFE商事に入社して正解だったと思います。緊張感が高く、気が抜けない毎日ですが、その分、達成感も大きい。良い選択ができたと満足しています」。

学生時代は、留学のほかにも、海外へはよく旅行にも行っていた榎。「海外志向はずっとありました。オーストラリアへの駐在が決まってすごく嬉しい。日本代表として、ローカルの方たちと一緒になって、同じ目線で仕事に取り組んでいきたいと思っています」。

会社のクラブ活動はスキー部とテニス部に所属している。「自分の部署だけでなく、様々な部署の先輩や後輩ともつながりができるのがいいですね。同期ともつねにコミュニケーションをとっています。この写真は、同期たちと行ったツアーでの1枚です」。

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