商社の仕事と役割

国内鉄鋼事業

日本の基幹産業に必要不可欠な鉄鋼製品を供給するコア事業

 国内の造船、自動車、電機、重機、様々な建設資材や産業機械など、基幹産業の製品作りに欠かせない、鉄。JFE商事は、世界有数の鉄鋼メーカーJFEスチールをはじめ国内外の製鉄会社が生産する鉄鋼製品を、日本の様々な業種のメーカーに販売しています。取り扱っている製品は、建物、橋梁などに用いる「厚板」、自動車や家電、食用缶など用いる「薄板」、生活関連物資にも用いる「ステンレス」、油井管やラインパイプといったエネルギー分野にも不可欠な「鋼管」、インフラの基盤整備に欠かせない建築・土木用の「H形鋼」「丸棒」、など多岐にわたります。
 JFEグループの中核商社として、JFEスチールの製品開発や生産状況と密接にリンクした流通体制を構築する一方、国内20カ所に独自の鋼材加工センター(コイルセンター)を展開し、高付加価値製品を、顧客である様々な企業に提供しています。たとえば自動車であれば、鋼板をそれぞれの車種ボディー用の鉄鋼パネルに加工するなどのブランキング事業、造船であれば船体ブロックの一貫加工事業など、顧客のニーズに合わせて加工販売する「サプライチェーン・マネジメント」を確立しています。
 国内の地域に根ざしたJFE商事のネットワークは、顧客のニーズに丁寧に応える“サービス力”と“提案力”を磨き上げ、高品質・高付加価値の鉄鋼製品を供給することで、国内の鉄鋼マーケットの活性化に貢献していきます。

COLUMN

角形鋼管販売・加工会社のグループ化で建材事業のサプライチェーン・マネジメントを強化

鋼材加工販売事業において実績のある株式会社ヤシマナダを、2013年にグループ会社化。それにより、建築構造用材である角形鋼管の販売・加工拠点の体制が強化されました。ヤシマナダの販売力とJFE商事グループ販売網が連携強化され、より高いシナジーが発揮されています。東京オリンピックに向けて高まる建築構造用鋼材の需要も確実に捕捉していきます。

海外鉄鋼事業

世界各地で鋼材の輸出入など グローバル事業を積極展開

 JFE商事は、アジアを中心に、世界各地で鋼材や加工製品の輸出をはじめとした貿易事業、プラント建設やM&Aなどの海外プロジェクトや事業を積極的に推進しています。ヨーロッパやアメリカ、アジア、オーストラリアなど世界18カ国、36カ所を超える事業拠点を展開し、安定した製品供給を実現する一方、世界各地の鉄鋼事業に関わる情報をリアルタイムでつかみ、顧客にフィードバックする、情報機能としての役割を担う体制も整えています。有望なマーケットとして注目される中東、アフリカなどの市場にも積極的にアプローチしています。
 海外の鋼材加工センターも、1975年のシンガポールの「KAWARIN ENTERPRISE」の設立に始まり、現在では世界各国18カ所に展開しています。顧客企業の最終製品に近い2次・3次加工を実施し、日系の電機・自動車メーカーや現地企業に向けて、電磁鋼板や自動車鋼板、ステンレスなどの製品を、高度な品質管理体制のもと最適なタイミングで供給しています。
 また、海外プロジェクトは、韓国での自動車用鋼板、マレーシアでの食品缶詰用ブリキ原板、中国の鋼材需要をキャッチアップするための冷延鋼板メーカーへの出資、タイにおける自動車生産拡大に対応する加工センター設立、アメリカで100年以上の歴史を誇る大手鋼管問屋「Kelly Pipe」の買収など、世界各地で多種多彩なプロジェクトや合弁事業を推進しています。
 今後も、海外拠点を中心にJFE商事のグローバルビジネスは積極的に展開される見込みです。

COLUMN

インドの電力需要を商機と捉え、ムンバイに戦略的販売拠点が稼働

12億7000万人超の人口を擁するインドは、世界的にも有望なマーケットとして注目されています。経済成長を続けるインドの電力需要は飛躍的に伸びており、電力設備に欠かせない電磁鋼板の加工・販売の拡大は、大きなビジネスチャンス。JFE商事は、インド・ムンバイ近郊のプネ市に、鋼材加工を行うコイルセンター「JFE SHOJI STEEL INDIA PVT.LTD(JSI)」を設立。変圧器・発電機の製造メーカーを中心に、インドにおける電磁鋼板の販売強化が本格的に進められています。

仏社と北米でモーターコア合弁会社設立 その製造をメキシコのJSMが担当

人口の増加を背景に今後の経済発展が期待されるメキシコ。JSM(JFE SHOJI STEEL DE MEXICO S.A.DEC.V.)は変圧器とモーター事業を中核に据えた総合鉄芯メーカーを目指し各種コア製造と試験設備の投資を進めています。特にモーター事業においては、米国でのハイブリッド(HEV)・電気自動車(EV)の更なる需要伸長により、電磁鋼板を加工したHEV用 駆動モーターのコア需要増加が見込まれています。その需要を取り込むべく、JFE商事はフランスのブルジョワ社と北米におけるモーターコアの製造販売を目的とした合弁会社を設立。その製造をJSMが担い、JFE商事グループの販売ネットワークを活用することで、北米で高まるモーターコア需要を確実に捕捉していきます。

原材料事業

鉄の主原料である鉄鉱石・石炭から非鉄分野まで 商社ならではの調達力と、柔軟な発想で自らの事業を広げる

 鉄鋼の原料となる鉄鉱石や石炭などを、世界各国の産出国から輸入し、安定供給を進めています。また、中国・韓国、インド、タイ、ベトナム、イギリスなど世界の高炉各社への取引拡大に取り組むとともに、資源開発プロジェクトにも積極的に参画しています。その中心となるのは、オーストラリア。同国の石炭開発プロジェクトへの投資を通じて、年間100万トンレベルの石炭を確保し、JFEスチールをはじめとする国内外の鉄鋼メーカーや電力会社に提供しています。資源開発と並行して、オーストラリアのほか、ロシアやカナダ、インドネシアといった国からの仕入ソース拡大にも注力しています。また、鉄鉱石についてもオーストラリア、ブラジル、インドなどの資源国から日本への輸入を確保する一方、三国間取引にも積極的に取り組んでおり、中国をはじめとする海外の鉄鋼メーカーへの販売にも力を入れています。
 非鉄分野では、中国依存が高い合金鉄ビジネスにおいて仕入れソースの分散化を図るために、韓国、カザフスタン、ロシア等からの輸入拡大を進めると同時に、マレーシアでフェロシリコン製造ビジネスにも参画し、JFEスチールや電炉メーカーへの安定供給を担っています。
 さらに、リサイクル資源となる鉄スクラップや還元鉄など冷鉄源の三国間取引や、コークスなどの炭素製品の販売も拡大。JFE商事の原材料ビジネスは、様々なフィールドで活躍しています。
 製鉄の副産化成品から広がった新たなビジネスの可能性といえるのが、化学品です。製鉄原料となるコークスの製造過程で生じるガスやタール、ペンゾールのほか、クレオソート油などの石炭化学製品からファインセラミックスなどの機能性化学品といったものまで、幅広い分野で事業を展開しています。近年ではグループ会社とともに、窒化ホウ素、ニッケル超微粉、酸化鉄などのニッチな分野でも、グローバルに市場・用途・素材の開発に取り組んでいます。
 その他、自動車運搬船・原料運搬船といった船舶の売買を行う船舶部門や、世界中で石油製品の取引を行う燃料部門など、さまざまな事業展開もまたJFE商事の特徴です。

COLUMN

角形鋼管販売・加工会社のグループ化で建材事業のサプライチェーン・マネジメントを強化

製鉄の主要原料の石炭や鉄鉱石等の主要原料の安定供給のための販売。権益投資はもちろんのこと、鉄鋼商社ならではの強みを活かして、製鋼プロセスには欠かせないフェロシリコンやコークスの仕入れ・販売を強化しています。

資機材事業

世界各国のプラントへ生産設備や資機材を販売

 JFEスチールをはじめ国内外の製鉄メーカーなどに、生産設備やその設備を稼働させるための資機材を調達・供給しています。現場に密着した営業体制を強みに、製鉄所向け機材の分野では、製銑・製鋼設備の上流工程から圧延・表面処理・出荷設備までを取り扱い、さらにそのメンテナンス用機械部品、金属加工製品などまで幅広く取り扱っています。顧客のニーズをしっかりと把握し、国内外の関連会社と協力体制を敷いたきめ細かなコーディネート力は、東南アジア・ブラジルといった国々への新たな取引拡大につながっています。さらにインドにおいては製鉄ライン建設の一大プロジェクトにも取り組むなど、JFE商事の活躍の場は広がってきています。

COLUMN

インドの製鉄プラント建設に資機材を供給

製鉄関連ビジネスで培ったノウハウを活かし、2011年にインド・ビシャナガールの大手鉄鋼会社であるJSWスチールのプラント建設に参加。資機材の納入で実績を上げました。その後、電力発電所への設備販売を強化し、複数の電力会社への設備の販売を実現しています。

食品事業/エレクトロニクス事業

中東・西アフリカでの食品事業や半導体・FA事業もJFE商事グループで展開

 JFE商事グループの中で食品事業を展開する川商フーズでは、ノザキのコンビーフといった様々な缶詰や、第三のビールをはじめとする飲料の販売、また食品メーカーへの食材供給を行っています。日本企業の中でもいち早く中東や西アフリカに進出し販売したGEISHAブランドの缶詰は国民食としても浸透しています。食品事業は、JFE商事の中でもさらなる強化を目指す重要な事業ドメインです。中東や西アフリカでは今後の人口の増加が期待でき、そうしたマーケットへの拡販、さらにグローバル規模での加工・販売体制の充実などにより、世界市場を見据えた展開が期待されています。
 また、JFE商事エレクトロニクスでは、特定用途向けICなどの半導体デバイスからFA機器・設備まで、幅広く事業を展開しており、付加価値の高い豊富な製品をグローバルに取り扱い、技術サポート力とシステム提案力を基点にしたトータルソリューションを提供しています。半導体製品や実装機器の販売に加え、大手コンピュータ企業と協業した半導体製造受託事業にも注力。さらなる事業の拡大を図り、独自の存在感を持つ技術商社を目指して事業を推進しています。

COLUMN

アフリカの安全・安心な食に貢献する「GEISHA」缶ブランド

JFE商事の事業会社である川商フーズがアフリカ、中国、東南アジアで1950年頃から販売している缶詰食品ブランドのGEISHA。特に、食料自給率が低く、冷蔵・冷凍インフラが整備されていないアフリカでは、安全な魚の缶詰は貴重なタンパク源として、販売当初から幅広い支持を集め、今では国民食として浸透しています。

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